壺百景
『壺百景』
日本の中世の壺を中心に、成井大甫氏(庭師/骨董コレクター)が20年来
蒐集してきた大小さまざま100の壺を一堂に会し展示・販売致します。
2023. 4. 15 (土) ― 30 (日)
open 12:00-18:00 水曜休
数年前から一生に一本の壺を探している。
そうするうちに様々な壺が集まってきた。
迷った時は自分が入りたいと思う壺を手にする。
お気に入りの壺のない人生は寂しいと思うようになった。
そんな中、成井さんに古信楽の大きな壺を抱かせてもらう機会があった。
ずっしりと焼き締まった土の触感、身体に添うような柔らかい弧を描く線、
壺中のまるい空白に満たされていくような何ともいえない安堵感。
全身で抱えた壺は、眼や掌で鑑賞する壺とは全くの別ものだった。
今展に並ぶ約100点の壺は、中世の名のない陶工の方々が作ったものだ。
成井さんが蒐め続けてきたそれらの壺は、控えめな自然釉や灰被りの景色、
ほっとする原始的な土の現れや、揺らぎあるふくよかな立ち姿のものが多い。
古窯の壺特有の、時を経た抽象的な謐けさと、生命や宇宙の漲りを讃えるかのような
大らかな姿を眺めていると、自然と心が安らぎ神聖な気持ちが降りてくる。
壺は元来、水、種子、茶葉、穀物、蜂蜜、酒など、生きるために必要な食物の貯蔵や
発酵、醸造、発芽のための道具として、又は仏経典の保存や蔵骨器としても使用されてきた。
土や薪など土地固有の素材と対峙し、「用」の形を求めるなかで自然と生まれた存在が
人間の生から死までを内包してきたことに私は深い感銘を覚える。
数千年前から私たちの生活に常に寄り添い、近代以降 急速に離れていった壺。
今展ではそんな「壺」という存在を、改めて身近に感じられるような空間を作ります。
壺の景色の中に身を投じ、一壺一壺との対話をゆっくりとお愉しみください。
そして皆様にとっての一壺との出会いがありましたら幸いです。
kankakari 鈴木良
【special event 壺花茶】
4/28(金) 昼 『壺中の茶』 小嶋万太郎 (池半 亭主)
4/28(金) 夜 『壺中の花』 平間磨理夫 (華道家)
kankakari
京都市北区紫野下築山町15
070-1871-1010
Comments